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今回は、古くから日本国内で愛されてきた日本の伝統である『瓦屋根』のメリットについてご紹介していきたいと思います。
皆さんも、家の周囲を少し歩いてみれば瓦を採用した瓦屋根の住宅がたくさんあるので、「屋根=瓦」というイメージを持っている方が多いと思います。特に、日本の重要文化財として登録されているような寺社などの、歴史的建造物は総じて瓦が採用されているため、日本に住んでいる方で今まで一度も瓦屋根を見たことが無い…という人はいないと言えるでしょう。
瓦屋根は、日本家屋独特の重厚感のある外観イメージを作り出してくれるため、さまざまな屋根材が販売され始めた現在でも根強い人気を誇っているのは確かです。しかし、この瓦屋根に使用される『和瓦』は、土を焼き固めて作られるという素材的特徴で、非常に重い屋根材となってしまうこともあり、近年の新築・屋根リフォーム業界では敬遠される傾向にあるのです。実際に、この記事を読んでいる方の中には、瓦屋根からスレート屋根や金属屋根への葺き替えを検討している…という方もいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、「なぜ瓦屋根が敬遠されているのか?」や他の屋根材にはない瓦屋根のメリットについてご紹介していきたいと思います。
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それではまず、近年、新築業界や屋根リフォーム業界で日本の伝統である『瓦屋根』が敬遠される傾向にあるのはなぜ?という疑問についてご紹介していきましょう。最近の住宅業界では、新築時にはスレート屋根が、屋根リフォームでは金属屋根のシェアがどんどん伸びていると言われています。
スレート屋根や金属屋根のシェアが伸びている理由は、スタイリッシュな洋風建築の外観デザインを好む方が増加しており、それを実現できる屋根材の人気が高くなっているというのも理由の一つですが、最も大きな理由は「瓦屋根は重い」というものです。冒頭でもご紹介したように、和瓦は土を焼き固めて作られていますので、素材的な要因でスレートや金属屋根とは比較にならないほど重くなってしまうのです。また、従来通りの施工方法となると、屋根材の下に屋根土を敷き詰めて瓦を並べていくという手法になりますので、屋根全体の重量が非常に重くなってしまうのです。
「屋根が重くなって何の問題があるの?」と考える方がいるかもしれませんが、屋根重量の重さは建物にとって致命的なデメリットになってしまう場合があるのです。それは、大規模地震が発生した際には、軽量な屋根よりも重量のある屋根の方が被害が出やすいということです。実は、屋根の重量が重くなればなるほど、建物の重心が高くなってしまい、地震による横揺れがあった際、大きく建物が揺れてしまうことになるのです。したがって、大規模地震が発生したときには、屋根材が落下してしまう…という被害や、最悪の場合揺れに耐えられずに倒壊してしまうというリスクが高くなるのです。実際に、地震による被害情報を伝える報道番組などを見ていると、周囲の軽量な屋根には何の被害も出ていないのに、瓦屋根の住宅だけ大きな被害が出ている…なんて映像は皆さんも見たことがあるのではないでしょうか?
最近では、台風による強風でも瓦屋根の被害が多いということが指摘されるようになっているため、自然災害が多い日本国内の住宅には、より軽量なスレートや金属屋根材が採用される傾向が強くなっているのです。
それでは、近年敬遠される傾向にあると言われる瓦屋根のメリットとはどういったものが考えられるのでしょうか?
悪質な訪問販売を行っている業者の中には「瓦屋根は重くて災害に弱いから、すぐに葺き替え工事したほうが良い!」などと不安を煽ってきますが、この考えは間違っています。瓦屋根がスレート屋根や金属屋根と比較すれば重量があるのは確かなのですが、その一点で地震などの災害に弱くなるわけではないのです。日本国内には、耐震基準が設定されていますので、重量のある瓦屋根を採用する場合には、その荷重に耐えられるだけの構造を持った建物が作られています。したがって、「瓦屋根=地震に弱い」という間違った認識は持たないでおきましょう。
一般的な屋根業者も「屋根の軽量化」を勧めてくる場合がありますが、それはあくまでも「重いよりは軽い方が耐震性が良くなる」という比較論なのです。ただし、新耐震基準が作られた1981年以前に建てられた建物であれば、現在の耐震基準を満たしていないことも考えられますので、そういった住宅は一度専門業者に耐震性能の診断をしてもらうのがオススメです。
ここでは、他の屋根材にはない瓦屋根のメリットをいくつかご紹介しておきます。
瓦屋根は、高温多湿な日本の気候を考えて作られた非常に優れた屋根材です。今でこそエアコンなどの空調設備で夏や冬でも快適な環境を作れますが、昔はこのような便利な設備などなかったのです。そのため、住宅に使用される建材は、いかに夏の猛暑を快適にすごし、冬は暖かくすごせるかということを考えられ、さまざまな工夫が施されているのです。
例えば、瓦屋根に関しては、屋根の下地と瓦の間に空間ができるように考えられており、そこにできる空気層によって熱を屋内に伝えにくくするという工夫が凝らされています。そのため、瓦屋根を採用した建物は、夏は外の熱が伝わりにくく、冬は結露が発生しにくい快適な住空間を作る事ができるのです。
瓦屋根は、土を焼き固めて作る陶器のような素材です。陶器で思い出していただきたいのは、数百年以上前に作られた陶器が、現在になっても昔の形のまま出土するようなことがあるほど、非常に耐久力が高いということです。
瓦屋根も同様で、近年人気となっているスレートや金属屋根とは比較にならないほど耐久力が高いです。紫外線などの影響にも強く、色あせやサビなどの心配もない非常に長く使用できる屋根材というのが大きなメリットになります。実際に、重要文化財となっている伝統建築では、数百年以上前の瓦が現役で使用されていることもあるほどなのです。
瓦屋根は、定期的な屋根塗装なども必要なく、他の屋根材と比較すると大掛かりなメンテナンスをあまり必要としないと言う点もメリットです。
上述したように、瓦自体が非常に耐久力の高い素材ですので、自然災害などの外的要因でひび割れが発生した…なんてことが無い限り、瓦自体のメンテナンスは必要ないのです。ただし注意が必要なのは、この耐久力の高さから「瓦屋根はメンテナンスフリーだ!」と勘違いしてしまう人がいることです。瓦屋根は、屋根材である瓦のみで構成されているわけではなく、他にも下地となる木材や漆喰などさまざまな副材が使用されているのです。つまり、こういった副材は瓦ほどの耐久力はなく、定期的なメンテナンスは瓦屋根でも必須ということです。
あくまでも、他の屋根材よりも「メンテナンスの手間が少ない」というだけです。
最近では、片流れ屋根や陸屋根など、洋風建築のようなスタイリッシュな外観デザインを好む方が増加しています。そのため、それを実現できるスレートや金属屋根素材が選ばれることが増えているのです。
しかし、瓦屋根は、日本の伝統的な重厚感のある外観デザインを作ることができ、瓦屋根にしか出せない雰囲気を醸し出してくれるのです。長く瓦屋根の建物に住んでいる方の中には、スレートや金属屋根の洋風建築のようなデザインを不満に思う方も多く、屋根の軽量化はしたいけれど、デザインが気に入らないから瓦屋根の建物に住み続けているという方も多いのです。
つまり、瓦屋根にしか作り出すことができない日本建築特有の外観デザインは非常に大きなメリットと捉えられているのです。最近では、ケイミュー社が販売する『ROOGA(ルーガ)』シリーズなど、瓦屋根の外観を保ったまま屋根の軽量化を実現する屋根材も登場していますので、外観デザインに拘りたい方は、そういった屋根材を選択すると良いでしょう。
今回は、日本国内で古くから愛されてきた屋根材である『瓦』のメリットについてご紹介してきました。
この記事でもご紹介したように、瓦屋根は重量が非常に重くなってしまうため、地震などの災害に弱くなってしまうという情報が出回り、近年敬遠される傾向にあります。特に、新築業界では施工性が良くコストも安いスレート屋根のシェアがかなりを占めるようになっており、リフォーム業界でも瓦屋根から金属屋根へ葺き替えする方が増加しています。
ただし、忘れてはいけないのは、瓦屋根だから地震に弱くなるという情報はかなり拡大解釈をしているということで、耐震基準を満たした瓦屋根の建物であれば、そこまで心配する必要などはありません。それどころか、瓦屋根は日本の気候条件を考えて作られた屋根材ですので、他の屋根材では得られないメリットもたくさんあるということを覚えておいてください。