屋根修理・雨漏り修理・葺き替えの住まいるドクター関西全域(京都・奈良・大阪・兵庫・和歌山・滋賀対応)
日本は、地震や台風など、さまざまな自然災害が多い国として有名です。そのため、多くの方は自然災害によって自宅が何らかの被害を受けた時の保険に加入するようになっています。実際に、我々のような屋根修理業界では、台風などの強風によって屋根が破損した場合、火災保険を利用して修理をしたいという問い合わせが増えています。
そして、地球温暖化の影響からか、日本国内では夏場の集中豪雨やゲリラ豪雨による水害に悩まされる方が急増しています。屋根に関しては、非常に強い雨により、突然雨漏りするようになった…、雨樋が外れるといった被害の報告が増えているのですが、ここにきて突然の『雹』によって屋根やカーポートなどに被害を受ける…という事例が急増しています。実際に、2023年7月には、関東地方の各地で雹が降ったという報告が複数回あり、自動車や住宅の雹による被害がかなりの件数報告されています。
それでは、自然現象である『雹』によって自宅の屋根や雨樋が破損した場合、その修理に火災保険を適用することができるのでしょうか?この記事では、火災保険が適用できる雹被害例と保険がおりない時の理由について解説します。
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屋根修理業界では、お客様から「火災保険を利用したい!」と言った申し出をいただくことが増えています。これは、台風などの強風によって屋根に何らかの被害が生じた時には、火災保険を適用できるという知識が一般の方の間にも浸透してきているからでしょう。
火災保険は、その名称から「火災による損害に対して補償してくれる保険」というイメージが強いのですが、その他にも落雷や強風による風災、大雪による雪災など、自然災害や盗難などの損害まで対応してくれる保険となっています。火災保険は、非常に幅広い損害に対応してくれることから、「建物の総合保険」などとも呼ばれることがあるほど心強い存在になっています。
ただ、火災保険に加入していたとしても、具体的にどのような被害が補償されるのかについては、契約内容や保険会社によって異なるので、その点は注意してください。ここではまず、近年増加している『雹』による住宅被害についてご紹介します。
雹による住宅被害で最も多いのが、カーポートに雹が衝突し、屋根が破れて穴があく…というものです。最近のカーポートは、屋根にポリカーボネートなどが採用されるようになったことから、比較的強度が高くなっています。しかし、一昔前に設置されたカーポートの場合、波板やアクリル屋根が多く、経年劣化で脆くなった所に雹が降る事で穴があいてしまうわけです。
ちなみに、直径が5mm以下の物はアラレと呼ばれ、それ以上のサイズのものが雹と呼ばれます。直径5mm以上の氷の塊が空から高速で降ってくるわけですので、カーポートの屋根の状態によっては簡単に破けてしまうと考えなければいけません。もちろん、カーポートの屋根に穴があいた場合、その下の車にも被害が出てしまうことでしょう。
こういったカーポートの雹被害については、火災保険を適用することができる可能性が高いので、保険会社などに確認しましょう。なお、カーポートに置いていた車の被害については、火災保険ではなく自動車の保険を適用することになります。
カーポートの屋根と同様に、ベランダやテラス屋根も雹が降り注ぐことで穴だらけになる…なんて被害が考えられます。採用している屋根材によっては、穴まではあかないまでも、表面に傷が付いたり、凹みが生じたりと言った被害が考えられます。
ベランダやテラス屋根に採用される素材は、塩ビ波板やアクリル、ポリカーボネート製など、さまざまなモノがあるのですが、どのタイプの屋根材でも雹による被害を受ける可能性があります。雹被害で屋根に穴があいた場合、新しいものに交換するといった工事が必要です。
ベランダの屋根は、住宅の一部ですので、雹災まで含めた火災保険に加入していれば、その損害に火災保険を適用することができます。しかし、もともと経年劣化が著しいところに雹被害があったと判断される場合、屋根の破損原因が「雹ではなく経年劣化」と判断され、保険適用が認められないケースもあります。
築年数がある程度経過した住宅の場合、雨樋は塩化ビニール製でできていることがほとんどです。塩化ビニールは、経年で徐々に脆くなっていきますし、そもそもがそこまで高い耐久性を持っていないため、大きめの雹が当たると、意外に簡単に割れたり穴があいたりします。雨樋は、屋根に落ちた雨水を適切に建物外へ排水するための設備ですので、住宅を長持ちさせるためには非常に重要な部位です。したがって、雹被害によって穴やひび割れが生じた時には、出来るだけ早く専門業者に修理してもらいましょう。
なお、雨樋の雹による被害については、住人さんが気付けない場合も多いです。雨樋は高所の目立ちにくい場所に取り付けられているので、一般の方が目視で全てを点検することが難しいです。そのため、雹が降った後は、屋根の専門業者に点検をしてもらうのがおすすめです。雹による被害に気付けず長期間放置した場合、雹による被害か判断できなくなるので、いざ修理が必要になった時に火災保険の適用ができなくなる可能性があります。
屋根も、雹被害を受けやすい場所です。さらに、屋根は住人さんが目視で確認することができない場所となるので、雹被害が生じていたとしても、それに気づくのが遅れてしまうケースが多いので注意しましょう。雹が降った後は、雨樋の点検と合わせて、屋根被害が生じていないかを専門業者に点検してもらうのがおすすめです。
屋根は、住宅によって採用する屋根材が異なります。古くから日本国内で採用されている瓦は、他の屋根材と比較すると、非常に頑丈な作りになっていますので、基本的に雹によって瓦が割れるといった心配は少ないです。ただ、時にはゴルフボール程度もある大きな雹が降る時があり、この場合は瓦でも割れてしまうことが考えられます。
新築業界で人気のスレート屋根に関しては、セメントが主な成分ですので、それなりの強度を誇ります。しかし、経年劣化が進んた所に雹が降った場合、屋根材が割れてしまうことがあるので注意しましょう。この他には、表面の塗装が剥がれてしまうといった被害が考えられます。
近年の戸建て住宅は、ガルバリウム屋根など、軽量な金属屋根素材が採用されるようになっています。金属なので、雹による被害の心配はないと考えがちですが、実は金属屋根が最も危険だと考えた方が良いでしょう。というのも、雹が屋根に衝突することで、表面が傷つき、そこからサビが広がってしまう…と言った被害が考えられるのです。また、表面に凹凸が生じることで、屋根材の劣化を促進させることがあり、本来の耐用年数よりもかなり早く、屋根がダメになってしまうことがあります。
屋根に、どのような屋根材を採用していたとしても、雹による被害の有無を確認するため、出来るだけ早く専門業者に点検してもらうのがおすすめです。何らかの被害が確認された場合、その修理に火災保険を適用することができるかもしれません。
雹による住宅被害は、上述した以外の部分でも、さまざまな場所が考えられます。
例えば、多くの方が頑丈で「ちょっとやそっとで壊れない」と考えている外壁なども、ゴルフボール並みの雹が直撃した場合、ひび割れや穴があくといった被害が生じるケースがあります。この他にも、窓ガラスや網戸などは、そこまで大きくない雹でも、簡単に破損することがあるので、雹が降っている時には窓から離れるようにしましょう。なお、天窓が設置されている住宅は、天窓が割れることもあるので、屋根の点検に合わせて天窓に被害が生じていないかチェックしてもらいましょう。
こういった住宅被害については、雹災が含まれた火災保険であれば、その修理費用を火災保険で賄うことができるでしょう。
近年では、強風による屋根被害について、火災保険を利用すれば無料で屋根修理ができるといった情報が出回っています。そのため、どのような屋根修理でも火災保険を利用したいと考える方が増えています。しかし、当然ながら、どのような屋根修理にも火災保険を適用できるわけはありません。
これは、雹によって何らかの住宅被害が生じた場合でも同じで、火災保険が適用できない場合があるのです。ここでは、雹による被害で火災保険を使用する場合に注意しておきたい、保険がおりないケースをいくつかご紹介します。
雹による住宅被害に火災保険を利用したいと考える場合、『雹災補償』と呼ばれる雹の災害に対する補償をつけておく必要があります。また、火災保険の対象に、建物をつけておく必要もあります。
例えば、住宅ローンを組むために加入する火災保険などは、特約の付帯がかなり手薄になっている場合があり、雹災補償の特約が付いていないケースもあるようです。そして、雹災補償のない火災保険に加入していた場合には、雹によって建物が破損したとしても、火災保険を適用することができません。この他にも、火災保険の対象を「家財」にしていた場合も建物の破損を補償してもらうことができません。
なお、一般的な火災保険については、基本補償として「風災・雹災・雪災」がセットになっています。そのため、保険の対象を「建物」もしくは「建物と家財」にしていれば、雹災に対して火災保険は適用できると思います。
火災保険は、自然災害など、突発的な事象による被害を補償してくれる保険です。そのため、経年劣化などによる損害については、保証対象外となり保険金がおりないと判断されます。
例えば、雹が降ったことによりベランダの屋根に穴があいた…という場合でも、雹が降る前から屋根が経年劣化していたと判断された時には、保険がおりません。これは、最終的に雹で穴があいたかもしれませんが、雹が無かったとしても近いうちに修理が必要だったであろうと判断されるからです。
火災保険の申請については、加入者が申請さえすれば無条件で保険金がおりるといった制度にはなっていません。保険金の申請をした後には、保険会社の鑑定人がきちんと最終判断を行うという制度になっているのです。屋根修理の飛び込み営業などでは、「絶対に保険金が使えるから、無料で屋根修理が可能!」などと声をかけているようですが、そのようなことはないので注意してください。
火災保険を契約する際には、免責金額を設定することがあります。
この「免責金額」とは、自然災害などで損害が発生した場合に被保険者などが自己負担する額として契約時に設定する額です。つまり、雹により何らかの被害が生じて、修理が必要になったとしても、その金額が免責金額以下だった場合、保険金は支払われないわけです。
こう聞くと、加入者に損な制度だし「免責金額」を設定しなければ良いのでは…と考える人もいるかと思います。ただ、この免責金額を設定すると、保険料が安くなるというメリットが得られるため、多くの方が設定しています。なお、免責金額を設定する際には、保険料を安くするため免責金額を高く設定する方がいます。しかし、その場合は、何らかの損害を受けた時の自己負担額が増えてしまうので、万一の際のこともきちんと考慮して設定しましょう。
火災保険は、保険金が支払われたとしても、その使い方について保険会社から言及されることはありません。
ただ、過去に保険金の申請を行い、適用箇所の修理をせずに他に保険金を使用した場合、また別の被害で同じ個所に損害が発生したとしても、保険金がおりなくなるので注意してください。
雹災などによる住宅被害について、火災保険を適用したいと思ったとしても、上記のような理由がある時には保険金がおりません。さらに、このほかにもいくつかの注意点があるので簡単に解説します。
まず、火災保険の利用は、「原状復帰」に限るということを忘れてはいけません。要は、災害などにより壊れた箇所を「元に戻す」場合には、その費用を補償してくれるというものなのです。そのため、修理業者から見積もりを取った際、壊れた場所以外の修理については、全額保険金がおりるとは限らないので注意してください。例えば、「部分的に壊れたものを広範囲に修理する」「元の状態よりもグレードアップさせる」などと言った工事を行う時には、全額補償はされない可能性が高いでしょう。
なお、火災保険の適用に関しては、保険法により保険金の請求期限が決められています。火災保険の請求期限は、「被害を受けた日から3年以内に申請」と決められているので注意しましょう。
今回は、自然災害の一つである雹による住宅被害と火災保険の関係について解説しました。近年、夏場のゲリラ豪雨が急増していて、全国のさまざまな場所で雹による被害が報告されています。
雹による被害と聞くと、自動車がボコボコになるといったものをイメージする方が多いのですが、5mm以上の氷が空から高速で降ってくる雹は、住宅などへも大きな被害をもたらせてしまいます。特に、カーポートやベランダなどの屋根は、そこまで高い耐久性を持っていないものが多いので、気付いたときには穴だらけになっている…なんてことも珍しくないようです。
雹による住宅被害に火災保険を適用したい場合は、火災保険に雹災補償の特約が付帯されているうえ、保険の対象に建物が入っていなくてはいけません。万一の際に役立つよう、ご自身が加入している火災保険の内容は、きちんと見直しておくのがおすすめですよ!