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新築戸建て住宅の外壁では、サイディングやALCといった外壁材が採用されている場合が多いのですが、こういった住宅は外壁材と外壁材の目地を埋めるために「コーキング(シーリング)」と呼ばれるものが施工されています。そして実は、このコーキングの劣化により外壁からの雨漏りが非常に多いので注意しなければいけません。
一般的に、雨漏りと聞くと「屋根の劣化から引き起こされる」というイメージを持っている方が多いのですが、ある民間調査会社が行った雨漏り原因場所の調査データによると、窓や壁からの雨漏りは全体の1/4以上の割合を占めていたという結果が存在します。つまり、住宅の外壁は、皆さんが考えている以上に雨漏りの危険がある場所で、その中でも特に注意しなければならないポイントがコーキングの劣化になるわけです。
そこでこの記事では、外壁や窓枠などに施工されるコーキングについて、意外に知らない人が多い基礎知識や、メンテナンスを行う場合にかかる費用などを解説します。
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それではまず、住宅周りで良く使用されるコーキングについて、そもそもこれが何なのかについて解説します。現在の新築業界では、サイディングや、ALCパネル・タイルと言った外壁材が良く採用されるのですが、こういった外壁材を貼る際には、材料と材料の間に隙間が生じます。そして、その目地に充填されるものがコーキングやシーリングと呼ばれます。
また、コーキングは、外壁部分に取り付けられる窓やドア枠の隙間を埋める目的でも充填されます。この他、モルタル外壁に生じるクラックの補修などでもコーキングを用いた施工が行われます。
外壁材の目地に施工される材料については、「コーキング」と呼ばれる場合と「シーリング」と呼ばれる場合があります。同じものを指しているのですが、名前が異なることから、使用されている材料が違うのだろうかと感じたことがある人も多いかもしれませんね。
しかし、「コーキング」と「シーリング」については、業者によって呼び方が異なるだけで、目的や使用される材料などは同じと考えても構いません。厳密に言えば、コーキング(Caulking)は「隙間や穴に詰め物をする」という意味合いがあるのに対して、シーリング(Sealing)は「密閉する」という意味合いになるため、施工の目的によって呼び方を変える人はいます。
例えば、新築工事で目地の詰め物を行う時は「コーキング」と呼び、防水を目的として詰め物を行う際には「シーリング」と呼ぶといった感じです。なお、リフォーム業者との打ち合わせでは、コーキングとシーリングはどちらの言葉で伝えても構わないので、皆さんはあまり中身まで気にしなくても構わないと思います。
コーキングは、外壁材を施工する際に生じる目地に充填するものですが、単に見た目の問題などで目地を埋めているわけではありません。コーキングが施されるのは、以下のような重要な理由があるからです。
このように、コーキングは、外壁からの雨漏りを防止したり、地震などで外壁材がズレてしまうことを防止するという非常に重要な役割を持っています。
注意が必要なのは、コーキングも他の建材と同じく、寿命と呼ばれる耐用年数が決まっている点です。コーキングは、住宅の立地など、環境によって寿命が上下するのですが、一般的に5~10年程度が寿命目安と言われています。コーキングの伸縮性は、外壁材が膨張・伸縮といった動きを繰り返すことで、徐々に衰えていきます。また、日当たりが良い場所(紫外線が多く当たる)や寒暖差が大きい場所なども、コーキングの劣化スピードを速めてしまうと言われています。
それでは次に、コーキングの劣化症状についてみていきましょう。上述したように、コーキングは5~10年程度で劣化が目立つようになりますので、以下のような症状が見られたらコーキングのやり替えを検討しましょう。
コーキングは、徐々に素材の柔軟性が失われていき、コーキング表面にひび割れが見られるようになります。コーキングにひび割れが見られるときは、劣化が進行している証拠で、数年以内に寿命を迎えると考えた方が良いでしょう。
コーキングのひび割れを放置すると、さらに材料の硬化が進み、亀裂などが入ります。そしてその後、真ん中が切れてしまう『破断』と呼ばれる状態になります。ここまで劣化が進行すると、コーキングに生じた隙間から雨水の侵入が考えられ、雨漏りのリスクが非常に高くなります。したがって、本来は、コーキングにひび割れを見つけた段階でコーキングの補修を検討するのがオススメです。
コーキングは、弾性が失われてくると、施工した部分が徐々にやせ、細くなる「肉やせ」と呼ばれる現象が起きます。肉やせが起きると、外壁材とコーキングの間に隙間が生じてしまいます。さらに、この状態を放置すると、さらにコーキングが減ってしまい『剥離』してしまいます。
コーキングが肉やせや剥離の状態になった場合、その部分は隙間が生じているということですので、雨水などの侵入を許してしまうことになります。つまり、雨漏りで建物内部が腐食したり、シロアリなどの害虫の発生リスクが高くなるなど、さまざまなトラブルに結びついてしまうと考えてください。
基本的に、このような状態になる前にコーキングの補修を行うのがオススメです。
それでは最後に、コーキングに何らかの劣化が見られた時、どのような方法で補修すれば良いのかについて解説します。住宅のさまざまな場所に施されているコーキングは、立地条件や気象条件などによって前後するモノの、約5~10年程度で劣化症状が表面化します。そして、その劣化を放置すると、雨漏りなどの問題に発展する非常に恐ろしいものだと考えなければいけません。
一般的に、コーキングの補修については、7年前後に一度の頻度で補修する必要があるとされるのですが、その方法は以下の二つの種類があります。
それぞれの方法について、具体的にどのような手法なのかと、費用相場について解説します。
「コーキングの打ち替え」は、既存のコーキングを一度すべて撤去して、そこに新たなコーキング材を充填するという方法です。なお、コーキングの補修については、基本的にm単位で計算される場合が多く、施工場所が長くなるほど費用が増していきます。
コーキングの打ち替えに必要になる費用相場は以下のような感じです。
一般的な2階建て住宅のコーキング打ち替え工事の場合、コーキング施工の長さは180m程度になります。したがって、「16.2万円~21.6万円」がコーキング施工の費用相場となります。なお、実際の見積りには、この価格に既存コーキングの撤去費用「1~3万円」と仮設足場費用20万円前後が加算されますので、全体の費用は40万円前後になると考えておきましょう。
次は、コーキングの『増し打ち』による補修です。上述した打ち替えと異なるのは、既存コーディングの撤去は行わないまま、上から新しいコーディングを充填する方法だという点です。上述したように、コーディングは、経年劣化によって痩せていきますので、その痩せた部分を補強するといった補修方法をイメージしていただければ分かりやすいです。
コーディングの補修を増し打ちで対応する場合のメリットは、撤去工事が不要になる、既存コーキングの上に充填するため、打ち替えよりも使用するコーキングの量が少なくなるなどと言った理由で、全体の施工費が安くなる点です。具体的には、コーキングの増し打ちについては「500~900円/m」が費用相場となっています。
打ち替えと同じく、2階建ての一軒家のコーキング補修を増し打ちで対応した場合の費用は、「9~16.2万円」程度となります。なお、撤去費用は掛かりませんが、足場代はかかるので、全体の工事費用は30万円前後となります。
コーキングの補修方法は、上述のように「打ち替え」と「増し打ち」という2つの方法があります。補修費用だけに着目すると、増し打ちによる補修の方がかなり安く収まりますので、増し打ちによる補修を検討する方が多いかもしれません。ただ、コーキングの劣化については、基本的に打ち替えで対処することがオススメです。それぞれの特徴を以下に簡単にご紹介します。
上記のように、コーキングの増し打ちは、既存コーディングの痩せた部分に応急処置的に新しいコーディングを打つ方法です。そのため、状態の良いコーディング部分は非常に薄くなってしまうため、打ち替えと比較すると劣化も早くなってしまう訳です。増し打ちの場合は、費用をかけてメンテナンスをしても、数年で次のコーディングのメンテナンスが必要になるなど、「近々外壁材を丸々やり帰る予定…」など、特殊な状況でなければあまりオススメではありません。