屋根修理・雨漏り修理・葺き替えの住まいるドクター関西全域(京都・奈良・大阪・兵庫・和歌山・滋賀対応)
今回は、拡大解釈され始めたのではないかと思える、外壁や屋根の塗装メンテナンスによって得られる効果について考えていきたいと思います。
外壁や屋根に採用される塗料は、まさに日進月歩と言えるような開発状況が続いており、採用する塗料をきちんと選ぶことで建物にさまざまな機能を添加することができるようになっています。例えば、塗装工事の営業などを受けてみると「外壁や屋根に施工するだけで断熱or遮熱効果がありますよ!」「セルフクリーニング機能があるので、壁が汚れませんよ!」などと言うトークを耳にする機会が多くなっています。
確かに、ここ数年さまざまな機能性を持たせた高機能性塗料が多く登場しているのは事実なのですが、ここにきて「塗料の能力」を拡大解釈し始めている方が多くなっているように見受けられます。例えば、「断熱塗料を使えば、エアコンがいらないのですよね!」などという質問を実際に受けるようなこともあり、「他の業者から何を言われたんだろう?」と少し心配になってしまうようなお宅が多くなっています。
そこでこの記事では、外壁や屋根の塗装工事で出来ることと出来ないことをご紹介しておきます。
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それではまず、外壁や屋根の塗装工事を行うことで、どのような効果が得られるのかについて解説していきましょう。塗装工事は、建物の美観を維持するために行うものと考えている方がほとんどですが、それ以外にもさまざまな効果が得られるのです。
ここでは、外壁・屋根塗装による代表的なメリットをご紹介していきます。
塗装工事は、単なる美観維持の目的で行うものではありません。住宅に使用される、スレートや金属などの屋根材、モルタル外壁や窯業系・金属サイディングは、工場出荷時に表面塗装されることによって表面を保護する塗膜が造られます。そしてこの塗膜が、屋根材や外壁材に雨水がしみこむのを防いでいるわけです。ただ、この塗膜は経年によって劣化していき、やがて水の侵入を許してしまうことになります。
つまり、建材の防水性を取り戻すという目的で塗装メンテナンスが行われるわけです。
これは言うまでもない塗装工事のメリットですね。外壁や屋根の防水性が低下すると、表面に汚れが付着しやすくなり、外壁や屋根の汚れが目立ち始めます。また、外壁や屋根そのものに水が浸入するようになっていますので、湿気でカビやコケが繁殖してしまうようになっていて、建物の美観を損ねてしまうことになるのです。
外壁や屋根の塗装は、こういった汚れを全て洗い流し、外観を綺麗にするうえで、汚れが付着しにくくするという効果が得られます。
あまり知られていないことなのですが、外壁や屋根に採用される塗料には、そのほとんどに苔や藻、カビを防ぐ薬剤が配合されています。つまり、塗装工事の基本性能として、防苔や防藻、防カビ機能があるのです。
なお、防苔や防藻、防カビの効果については、採用する塗料によって普通のものと高いものなど、違いが存在します。一般的には、塗り替えてから数年で、防苔や防藻、防カビが低下する感じです。
近年、戸建住宅だけでなく、工場や倉庫などの事業用施設でも注目されているのが、塗装工事によって遮熱効果や断熱効果を得るという方法です。冒頭でもご紹介していますが、近年では飛躍的に塗料が進化していっており、中には他の塗料と同じように塗っただけで、屋根や外壁に遮熱や断熱効果を添加してくれる高機能性塗料が登場しているのです。
遮熱は、太陽光エネルギーを反射して、屋根や外壁が熱せられるのを抑え、室内に入ってくる熱量を減らすというものです。断熱は、熱の伝導自体を抑え、夏場は外から熱が入ってこないようにする、冬は室内の暖かい空気が外に逃げないようにするというものです。
どちらの塗料にしても、通常の塗装メンテナンスを行うことで、住空間の快適性を高めてくれるという効果が得られます。下で紹介しますが、こういった高機能塗料の登場で、塗装工事の効果を拡大解釈し始める方が出てきています。
高機能性塗料の最たるものが『光触媒塗料』です。この塗料を使って塗装することで、外壁や屋根にセルフクリーニング機能を持たせることができると言われています。さらに、光触媒塗料を採用すれば、それだけで周辺の空気を綺麗にする空気清浄機能まであるとされています。
メーカーの公式サイトなどを確認すると、戸建て1軒に塗るだけで、テニスコート4面分の緑地がもつ空気清浄能力を発生させ、量にすると12台の乗用車が1日に発生させる排気ガスに対応できるそうです。
ここまでの解説を見れば、屋根や外壁の塗装工事は単なる美観維持を目的にするものではなく、それ以外の効果を得るために行う方が多くなっているのも頷けますよね。ただ、高機能性塗料の登場以降、その効果を大げさに紹介する飛び込み営業などが増えていることから、塗装工事で出来ることを拡大解釈してしまっている方が増えています。
以下のような事は、塗装工事ではできませんので、他の会社の営業マンに言われたとしても信じない方が良いですよ!
訪問営業などでは「屋根塗装と外壁塗装をすれば、雨漏りが止まります!」などと言うトークが普通に使われています。実際に、こういったトークの営業を受けた経験があるという方も多いのではないでしょうか?
確かに、屋根や外壁の塗装工事は、建材の防水性を保つという目的があるので、「塗れば雨漏りをさせない」と考えてしまうのは当然かもしれません。しかし、塗装による防水性の維持は、あくまでも屋根材や外壁材そのものに浸水させないようにと言う目的のもので、建物全体のことではないのです。
住宅で発生する雨漏りと言うものは、建材同士の取り合い(接合部や継ぎ目)部分に隙間が生じてしまい、そこから雨水が侵入するケースがほとんどです。そして、こういったことが原因で雨漏りしている場合、建材の防水性を維持したところで何の意味もなく、その隙間を埋めなければ雨漏りは止まりません。屋根材のクラックなどに関しても、塗れば一応亀裂が埋まりますが、きちんとクラックの補修をしてから塗装しなければ、直ぐに塗膜が切れて雨漏りが再発します。つまり、雨漏り修理と塗装工事は全く別物の工事と考えてください。
屋根や外壁に生じたクラックについて、「塗装工事を行えば、クラック補修も同時にできます!」などと言うトークを使う業者もいるようですね。確かに、外壁や屋根のクラックが「0.3mm未満のヘアクラック」程度であれば、弾性塗料を使用してそのまま塗りつぶしてしまっても問題ないことがほとんどです。しかし、それ以上のクラックとなると、塗装工事を行う前に、専用の樹脂などでクラック補修を先にしてあげなければ、後々問題が生じます。
クラックを塗膜で塞いだとしても、その下は下地も何もない空間になってしまうので、しばらくすればクラックに沿って塗膜が凹んでしまい、塗装面にミミズが這ったような変なラインが入ってしまうことになります。こうなると、せっかく塗装で美観を取り戻したとしても何の意味もなく、余計に不細工に見えてしまいます。さらに、塗膜が硬化してくるとクラックが再発するので、雨漏りなどの心配があります。
これからも分かるように、クラック補修と塗装工事は別物の工事だと考えてください。
断熱塗料や遮熱塗料は、塗装工事を行うことで空調機器に頼らなくても快適な住空間を維持できるようになると紹介されることが多いです。こう聞くと、「遮熱塗料なら夏の冷房がいらなくなる!」「断熱塗料なら夏も冬もエアコンがいらなくなる!」と考えてしまう方がいてもおかしくないですよね。
しかし、屋根や外壁の塗装工事で、完全にエアコンに頼らなくて済むようになるわけではありませんよ。断熱塗料は「夏は暑い外気の影響を受けにくくして、冬は空調機器で暖めた空気が逃げない」と言うように、あくまでも『空調効率を改善する!』と言うようなものです。つまり、断熱塗料を採用することで、光熱費が削減できるというのは間違いない事実なのですが、完全に使用しなくなるというのは認識違いです。
ちなみに、高機能性塗料は、結露防止もできると紹介されていることから、「結露が一切生じなくなる!」と考えてしまう方もいます。この部分に関しても、結露を完全に生じさせなくなるわけではないので、結露対策は他の方法でしなければならないと考えてください。
今回は、外壁や屋根の塗装工事について、意外と勘違いされがちな塗装工事で出来ることと出来ないことをご紹介してきました。
この記事でご紹介しているように、近年では、塗装工事に採用される塗料が急速に進化してきており、採用する塗料によっては、塗装を施した住空間の快適性を向上させてくれるようなものまであるのです。しかし、こういった高機能性塗料の登場により、「塗装工事で出来ること」が拡大解釈され始めているように感じます。
これに関しては、塗装工事の訪問販売などで、かなり話を大きくして営業をかけるような業者が増えていることも関係していると思うのですが、普通に考えれば「それは無理と分かるでしょ…」と思うような勘違いをしているような方も少なくないのです。この記事でご紹介しているように、雨漏り修理やクラックの補修に関しては、塗装工事を行うだけで完了するものではなく、別々に行うべきものだと考えてください。