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工場や倉庫で採用される波板スレートのメンテナンスについて

一般の戸建住宅であれば、外壁には窯業サイディング、屋根には金属屋根や化粧スレートなどと、美観に優れた建材が採用される事がほとんどですよね。しかし、工場や倉庫などの事業用施設では、古くから波板スレートと呼ばれる建材が採用されているケースをよく見かけると思います。これは、工場や倉庫などは、美観よりもコストや耐久性、メンテナンス性を重視しているからと言うのが大きな理由なのですが、「波板スレートはノーメンテナンスで済むからコストがかからない」と考えているのであれば大間違いです。

波板スレートは、一般住宅でも採用される化粧スレートと同じく、セメントと繊維を混ぜて作られていることから、金属のようにサビることもありませんし、腐食するようなこともなく、耐久性が非常に高いことがメリットです。ただ、こういった耐久性の高さから、波板スレートを採用している工場や倉庫では、屋根などのメンテナンスが放置されてしまい、雨漏りなどで非常に大きな被害を出してしまうケースが多くなっています。

工場や倉庫では、一般住宅では考えられないほどの高額な設備が稼働していますし、顧客の製品を保管しているという特性上、建物の不備でそれらが水濡れしてしまうと、非常に大きな被害に繋がってしまうのです。さらに近年では、台風や集中豪雨などの自然災害が猛威を振るっていますし、そういった災害から建物はもちろん、設備などを守るためにも屋根や外壁の状態が非常に重要になるわけです。
そこでこの記事では、工場や倉庫で採用されることが多い、波板スレートの特徴と必要なメンテナンスをご紹介していきます。

波板スレートとは?

それではまず、工場や倉庫など、大規模施設で採用されることが多い波板スレートがどういった建材なのかをご紹介していきたいと思います。最近でこそ、工場や倉庫などの事業用施設でも、外観イメージを重視する傾向が高くなっていますし、ガルバリウム鋼板を採用した金属サイディングを採用したり、折半屋根を採用した施設が多くなっています。しかし、波板スレートは、工場などの事業用施設の建材として非常に優れた特徴を持っていることから、現在でも屋根や外壁に採用さるケースは少なくありません。

例えば、工場や倉庫などは、従来から美観よりも作業性や安全性を重視する傾向が高いのですが、波板スレートは、高い耐久性・断熱性・遮音性・耐火性を持っていることから、こういった施設の屋根や外壁に非常に適していると言えるのです。また、波板スレートは、高耐久だというメリットがある上に、比較的安価に導入できるという点も事業用施設で採用される大きな理由になっているのだと思います。工場や倉庫などの施設は、一般の戸建て住宅と比較すれば、使用する建材がどうしても大量になってしまいます。そのため、安く施工できる波板スレートは非常にメリットが高い材料とみなされているわけですね。

なお、波板スレートにも種類が存在していますので、以下で簡単にご紹介しておきます。

波板スレートの種類

波板スレートは、波打っているような特徴的な形状を持つのですが、その波の大きさによって『小波スレート』と『大波スレート』に分類されています。業者によっては、大波スレートと小波スレートの中間ぐらいの物を中波スレートと呼んだりするのですが、ここでは大波スレートと、それ以外を小波スレートに分けて使用用途などを簡単にご紹介しておきます。

  • 小波スレート
    小波スレートは「波の幅が63.5㎜、高さが18㎜」程度の波板スレートを指しています。下で紹介する大波スレートの約半分ほどの波の大きさになっています。現在では、外壁専用の建材として採用されているのですが、築年数が経過した古い建物では、屋根も小波スレートが採用されている場合があります。
  • 大波スレート
    大波スレートは、上述した小波スレートの山部分について、幅・高さが約2倍ほどある波板スレートになります。大波スレートは、骨材とセメントを圧縮し形成しているので、強度が高いことが特徴です。ただ、小波スレートよりも若干割高になってしまいます。使用用途としては、屋根・外壁両方に採用されています。

上述しているように、波板スレートは、セメントと繊維質が主原料になっていますので、一般の戸建て住宅に採用されている化粧スレートと建材としてはそん色がないと考えても構いません。ただ、2004年までは、アスベストが含有されていましたので、その点は注意が必要です。2004年以降は、アスベストの使用が禁止されていますので、それ以降の波板スレートは心配する必要が無いのですが、波板スレートは耐久力が高い分、過去に施工されたアスベスト含有の波板スレートが現役で採用されている場合も非常に多いです。

波板スレートのメンテナンスについて

それでは、波板スレートを採用している建物に必要になるメンテナンスについてもご紹介していきましょう。上述しているように、波板スレートは、非常に耐久性が高い建材で、耐用年数は25年以上と非常に長いです。さらに、金属のようにサビて穴があいてしまう…などといった素材的な弱点もありません。波板スレートは、表面に細かな凹凸がありますので、砂埃や土埃などの汚れが付着してしまうという問題はあるのですが、戸建て住宅ほど美観が気にされないケースが多いため、汚れなども放置されてしまうことがあるのです。

こういったことから、波板スレートは「ノーメンテナンスで長持ちする!」などと考えてしまう方も多いのですが、その油断が雨漏りなどに繋がってしまいます。ここでは、波板スレートのメンテナンス方法についてご紹介しておきます。

①フックボルトの補修・交換

波板スレートでの雨漏りに関しては、屋根材そのものに何らかの問題が生じてしまうというよりも、屋根材を固定するために施工されているフックボルトの劣化が原因となっているケースがほとんどです。上述しているように、波板スレートはセメントを主原料にした素材ですので、経年による錆などの劣化は起こしません。ただ、屋根材を固定するために施工されるボルトに関しては、金属が採用されていますので、経年で必ずサビてしまうものなのです。

フックボルトがサビてしまうと、屋根材とボルトの間に隙間が生じてしまうことになりますので、そこから雨水が侵入し雨漏りが始まってしまいます。したがって、このようなことが起きないように、定期的にフックボルトのサビを確認し、錆止めなどを塗る必要があります。サビてしまうと、切断して交換する必要がありますので、錆を起こさないようボルトキャップなどで保護しておくのがオススメです。

②部分張替

波板スレートは、非常に耐久力が高い素材なのは間違いないのですが、台風などの強風でものが飛ばされてきてしまい、それが衝突して割れてしまう…などと言ったことは普通に考えられます。実際に、台風の大型化が進む近年では、台風の後にスレート材に穴があいた…と言った問い合わせが入ってくることが増えています。

こういった場合、波型スレートを採用していれば、被害を受けた部分の波型スレートを交換することで対処可能です。部分的な張替えですので、色合いに違和感が生じたりしますが、雨漏りなどの心配はありません。

③塗装工事

波板スレートは、表面に塗装を施すことで色あせや汚れの付着問題を解消することが可能です。上述したように、セメント素材である波板スレートは、表面がざらざらしていますので汚れが付着しやすいという特徴を持っています。付着した汚れによって、スレート材そのものが腐食するといった心配はないのですが、建物の美観を大きく壊してしまう原因になるので、美観維持などの要望があれば塗装を検討すると良いでしょう。

なお、塗装工事を行う場合には、表面の汚れを洗い流すため、高圧洗浄を行わなければいけません。築年数が経過した建物では、波板スレートにアスベストが含まれていて、高圧洗浄をかけることで、アスベストが流水に含まれて流れ出てしまう恐れがあります。そのため、経年劣化が進んでいて高圧洗浄に耐えられない…と思われる状態なら他の補修方法を採用しなければいけません。

④カバー工法

最後は、既存屋根の上から新たな屋根材を施工するカバー工法によるメンテナンスです。波板スレートは、高耐久と言うメリットはあるものの、セメント素材ですので、強い衝撃が入れば亀裂や穴があいてしまいます。また、アスベストが含有されている波板スレートであれば、塗装によるメンテナンスができないケースも珍しくないのです。

このように、塗装によるメンテナンスでは状況が改善できない場合は、カバー工法によるメンテナンスがオススメです。一般住宅でも採用されるメンテナンス方法ですが、既存屋根の上から施工していくので、撤去工事や廃材の処分費がなくなることから、工期の短縮、低コスト化が実現できます。また、屋根が二重になりますので、遮音性・断熱性の向上などと言ったメリットも得られます。なお、屋根が二重になるということは、その分、建物のかかる屋根の荷重が大きくなるということでので、耐震性の問題が生じてしまいます。したがって、新たに採用する屋根材は、軽量なガルバリム鋼板屋根になるでしょう。

※葺き替え工事によるメンテナンスもあるのですが、アスベスト含有の波板スレートの場合、屋根材の撤去、廃材の処分にかなりのコストがかかってしまうことになります。したがって、ひとまずカバー工法により、アスベストを封じ込め、できるだけ長期的に建物を利用するという方法がオススメです。

まとめ

今回は、工場や倉庫などで採用される波板スレートのメンテナンスについてご紹介してきました。近年は、倉庫や工場などでも美観を重視する傾向が高くなっていることから、波板スレートよりも、金属系素材が採用されることが多くなっています。ただし、波板スレートは、高い耐久性を持つことや、断熱性・遮音性・耐火性にも優れているなど、建材としての性能が非常に高いうえ、安価だということから、現在でも人気の素材となっています。

注意が必要なのは、波板スレートは、表面に汚れが付着したとしても、セメントだから腐食などはしないと考え、メンテナンスなんてしなくても雨漏りの心配はないと考えてしまう方が多い点です。確かに、スレート材そのものが汚れなどで腐食してしまう心配はないのですが、固定のためのボルトなどがサビてしまうことで、そこから雨漏りが発生してしまう恐れがあります。他にも強風で飛ばされてきた物が衝突し、ひび割れや穴あきなどの症状が出てしまうことも珍しくないので、メンテナンスフリーだとは考えない方が良いですよ。

この記事では、波板スレートで必要になる代表的なメンテナンスをご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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