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今回は、屋根リフォームの代表的手法の一つ『カバー工法』の基礎知識についてご紹介します。屋根修理や屋根リフォームに関しては、その他の住宅リフォームとは異なり、専門性が高い分野ということもあり、それぞれの工事でどのようなことが行われているのか?または、それぞれの工事を選択するメリットなどがあまりわからない…という方は多いことでしょう。
実際に、屋根リフォーム手法にはカバー工事以外に、葺き替え工事や屋根塗装と言った別の手法もあり、それらと比較してカバー工法のメリットは何なのか?ということは誰もが気になることだと思います。そこで今回は、屋根リフォームの代表的手法の一つ『カバー工法』の詳細や、そのメリット・デメリットをご紹介したいと思います。
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それでは早速「カバー工法ってなんだ?」という基本的な部分からご紹介していきましょう。
カバー工法は、別名で『カバー工事』などとも呼ばれますが、これを簡単に言うと「既存屋根の上から新しい屋根材を施工する工事」のことを指しています。このカバー工法で屋根リフォームを進める大きなメリットは、古くなった既存屋根材の撤去が必要なく、そのまま新しい屋根材を葺いていけるので、葺き替え工事などと比較しても、低コスト・短期間で工事を進めることができるということです。
ただし、どのような屋根であってもカバー工法で屋根リフォームができるという訳ではなく、比較的劣化が進んでいない屋根で有効な工法となります。また、瓦屋根など、屋根形状によっては、既存屋根を残したままでは新たな屋根材が施工できない場合もあるので、既存屋根の屋根材によってはカバー工法を選択することができません。基本的には、近年新築現場で約80%のシェアを誇ると言われるスレート屋根のリフォームに採用される手法です。
上述のように、カバー工法は、屋根形状や屋根の劣化状況によっては選択することができませんので、この手法で屋根リフォームを進めたいと考える場合には、屋根業者さんに「カバー工法で施工できるのか?」「屋根の劣化状況に問題はないか?」ということをきちんと確認してもらう必要があります。
それでは、カバー工法を採用した屋根リフォームの一般的な流れをご紹介しておきましょう。ここで紹介する流れは、一般的なスレート屋根をカバー工法でリフォームする場合のものです。屋根の状況や使用材料によっては、多少作業内容が変わってしまう場合もありますので、ご注意ください。
まずは、既存屋根の棟板金を撤去します。スレート屋根や金属屋根には、隙間を埋める、屋根材を固定するなどの目的で棟板金が施行されています。新たな屋根材を施工するためには、邪魔になるのでこの部分は撤去します。
既存屋根材の上からルーフィング(防水シート)を施工していきます。屋根は、目に見える屋根材だけで雨漏りを防いでいるわけではなく、ルーフィングが屋根の二次防水を担っています。雨漏りさせない建物を作るためには、非常に重要な部分となります。
ルーフィングの施工が完了したら、新しく設置する屋根材を施工します。新しい屋根材は、軽量なガルバリウム鋼板製の金属屋根材が主流となっています。新屋根材は、デザイン性だけでなく、屋根材自体が持つ機能性なども良く考慮して選択しましょう。
最後に棟板金などの雨仕舞を行って施工完了となります。
屋根のカバー工法がどういった物かはある程度ご理解いただけたと思います。それでは、葺き替え工事などのリフォーム手法と比較した場合、カバー工法を選択することにどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
ここでは、カバー工法の代表的なメリットとデメリットをあげておきましょう。
それではまず、カバー工法のメリットからです。以下のような点がカバー工法のメリットと言えるでしょう。
上述したように、カバー工法は既存屋根材の撤去が必要ありません。葺き替え工事では、既存屋根材を撤去し、屋根下地から補修する工程があるのですが、カバー工法はそういった工程を省くことができるのです。そのため、屋根リフォームにかかる工期を短縮することが可能です。
カバー工法は、工期が短くなりますので、その分施工費用も安価になります。また、工事によって出る廃材も少なくなるため各種処分費用も必要なく、全体的に低コストな屋根リフォームを実現することができます。
カバー工法で屋根リフォームを進めた場合、屋根は二重構造となります。したがって、屋根の厚みが増す分、断熱性・遮音性を向上させることができるのです。
カバー工法は、上記のようなメリットがある一方で、いくつかのデメリットも指摘されています。屋根リフォーム手法を選択するときには、デメリットも考慮しておかなければ、のちのち後悔しかねませんので、しっかりと頭に入れておきましょう。
カバー工法は「既存屋根の上に新たな屋根を作る」という手法ですので、屋根が二重なります。当然、新たに施工した屋根材の分、屋根重量が重くなってしまい、耐震性の悪化を招いてしまいます。ただし、カバー工法では非常に軽量な金属屋根素材が採用されますので、そこまで気にする必要もないかと思います。
カバー工法は、既存屋根材をそのままに施工を進める手法ですので、屋根下地を補修することができません。屋根下地の補修まで必要であれば、低コストのカバー工法を選びたくても、葺き替え工事をしなければいけません。
屋根の痛みがひどい場合や和瓦の屋根など、100%不可能という訳ではないのですが、カバー工法がオススメできない場合があります。つまり、カバー工法は施工場面を選ぶというデメリットを持っています。
今回は、屋根リフォーム手法の一つ『カバー工法』の基礎知識やそのメリット・デメリットをご紹介しました。屋根の大々的なリフォームを検討した場合には、葺き替え工事かカバー工事を選択することとなるのですが、基本的に葺き替え工事の方が高額になるため、誰もがカバー工事を選択したいと考えるものです。
本稿でもご紹介したように、短期間・低コストで工事が進められるカバー工法は非常に消費者にもありがたいリフォーム手法となります。しかし、カバー工事は、屋根下地に関しては一切触ることが無いなど、根本的な屋根の修理をするための手法ではないということを忘れてはいけません。屋根というものは、常に風雨や紫外線にさらされ続ける場所ですので、徐々にですが毎日劣化が進行していると考えておいた方が良いのです。一見しただけでは、何ともなさそうな屋根でも、実は屋根下地の腐食が進んでいた…なんてことも珍しくありません。
将来的に、低コストなカバー工法で屋根リフォームをしたいと考えていたとしても、劣化が進みすぎてしまうと、葺き替え工事を選ばざるを得ない場合もございます。したがって、定期的に専門業者に屋根の点検をしてもらい、最適なタイミングで屋根の補修を行うということを習慣づけるようにしましょう。そうすることが、屋根の寿命をのばすことにもつながりますので、結果的に最も低コストで建物を維持することになると思いますよ。
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